ああうえおです。
私には決まった顔がありません。
それは比喩でもあり、真実でもあります。
毎日、私は新しい自分と出会い、そしてまた新しい何かを見つけます。その度に、私の顔は変わり続けます。顔とは単に見た目だけのことではなく、私の内側で感じるもの、考えること、想像すること、そういった全てが、私の「顔」を作り出しているのだと思います。
私の顔は変わり続ける。
それは、まるで空を流れる雲のようです。風に吹かれ、形を変え、時には重なり合い、時には消えていく。その変わりゆく雲の形こそが、私の姿を象徴しているのかもしれません。
決まった形がないということは、自由でもあり、不安定でもあります。毎日同じ顔で生きる人にとっては、きっと安心感があるのでしょう。自分はこういう人間で、こういう顔をしていると決められることは、一種の安定をもたらします。
しかし、私にはそれができません。
決まった顔がないからこそ、私は新しい自分と出会うことができる。
自分の中で、変わり続ける感情や思考、それらが私の顔を毎日作り直しているようなものです。今日は楽しいことがあれば、笑顔になるかもしれない。明日は悩み事があれば、少し暗い顔をしているかもしれない。そんなふうに、私の顔はその瞬間瞬間に生まれ、そして消えていくのです。
昔、ある人にこう言われたことがあります。
「あなたの顔って、本当に変わるね」と。
その時は、どう返事をすればいいのか分からなかったけれど、今ならその意味が少し分かる気がします。おそらくその人は、私の内面の変化を感じ取っていたのでしょう。
私がその時に抱えていた思いや、感じていたことが、無意識のうちに顔に表れていたのかもしれません。だから、私には決まった顔がないと言えるのです。
私は詩人でもあります。詩を書くときも、同じように顔が変わります。言葉の一つ一つが、私の感情を映し出し、それが詩の中で新しい顔を作り上げる。
言葉を選ぶ瞬間、その言葉が持つ響きや意味が私の顔に影響を与えるのです。例えば、ある日は穏やかな詩を書き、ある日は激しい感情をぶつけるような詩を書く。どちらも私であり、どちらも私の顔なのです。決まった顔がないからこそ、詩を書くことでその瞬間の自分を表現できるのだと思います。
また、決まった顔がないということは、他者との関係においても大きな影響を与えます。人と話をするとき、私は相手に合わせて自然と顔を変えてしまうのです。
楽しい話をしているときは、私も笑顔になるし、真剣な話をしているときは、自然と引き締まった表情になる。相手の感情や雰囲気を感じ取り、それに応じて自分も変わっていく。それが、私にとって自然なことなのです。
時には、この変わりゆく自分に対して不安を感じることもあります。
「自分って本当はどういう人間なんだろう?」
と考えることがあります。定まらない自分を見つめ直してみると、時に迷い、時に戸惑います。でも、だからこそ私は詩を書くことで、自分を探し続けているのかもしれません。
詩を書くという行為は、私にとっての自己探求の旅でもあります。詩を通じて、自分の中にある様々な顔を見つめ、そして言葉にして表現することで、少しずつ自分を知っていくのです。
決まった顔がないということは、逆に言えば、常に新しい自分と出会えるということでもあります。日常の中で、何かに心を動かされた瞬間、その時に感じたことが新しい私を作り上げます。
たとえば、街中でふと耳にした音楽、夕焼けに染まる空、知らない人の笑顔。そうした日常の中の小さな出来事が、私の顔を作り変えていくのです。だからこそ、私は日々の変化を大切にしたいと思っています。
もちろん、決まった顔がないことの難しさもあります。自分がどう見られているのか、どう思われているのかが分からなくなることがあるからです。
自分のアイデンティティが曖昧になると、不安になることもあります。けれども、それでも私は、この変わり続ける自分を受け入れたいと思っています。変わり続けること、それこそが私の生き方であり、詩人としての在り方でもあるからです。
私には決まった顔がありません。
それは、私が自分の感情や思考に正直であることを選んだ結果でもあります。変わり続けることを恐れず、その時々の自分を大切にしていく。
それが私の生き方です。もしも、同じように感じる方がいるならば、どうかその変わりゆく自分を受け入れてあげてください。決まった顔がないことは、あなたが自由である証拠です。あなたも私も、自由に自分を表現する権利を持っているのですから。
詩人ああうえおとして、私はこれからも変わり続ける自分を大切にし、詩を通じて自分を表現していきたいと思います。誰かにとっては、それが不安定で、掴みどころのないものに見えるかもしれません。
けれども、その不安定さこそが、私にとっての自由であり、創造の源です。今日の私と、明日の私が違っても、それでも私は私。そんなふうに生きていけたら、と思うのです。
私には決まった顔がありません。それが私の特徴であり、私の生き方です。流れる雲のように、変わりゆく自分を楽しみながら、これからも詩を書き続けていきたいと思っています。
どうか、あなたもあなた自身の変化を楽しんでください。変わりゆくことの中にこそ、新しい発見と出会いがあるのですから。